東京メトロ接客選手権大会

2024年9月20日10:00~19:30

                   入学事前審査課 ファビアン エロア 

 東京メトロ接客選手権大会が、新木場にある東京メトロ研修訓練センターで行われました。これは駅員の接客スキルを高めるための大会で、駅員が選手です。毎年行われています。東京メトロから依頼を受け、乗客の役で、SNGから3人のスタッフ、ジョエル理事(フランス)、ファビアンさん(フランス)、カケンさん(香港)が参加しました。

 この大会のために、リハーサルを2回しました。1回目は、8月19日上野の本社で、どのようなことをするか役割分担の説明がありました。具体的には、私たち3人は乗客として演じていきました。乗客として何を聞くか、選手がこのようにしたら、こうしてください。とか、スマホを使って自動翻訳をすると、時間がかかるので、そうしないようにうまくリードしてくださいとか。話す言葉は初めは母国語で、選手がわからないようでしたら、英語でいいですか、と聞いてください。などの説明でした。また、「浅草寺にいきたいです」と尋ねている間に、車いすの乗客から電話が入り、選手は同時対応しなければならない場面もありました。2回目のリハーサルは、9月18日新木場の研修訓練センターで、実際に舞台に上がり、乗客を演じました。もちろん選手は全くリハーサルなしで、出場しました。私達乗客の役割の人達だけがリハーサルをしました。

 当日、大会は12時半から始まりました。選手は地域ごとに選ばれた20~30代くらいの駅員で、男性12人、女性1人の全部で13人でした。2020年に入社した方や、10年くらい働いているベテランの方もいらっしゃいました。私達は研修訓練センターに10時に行き、大会開始時間まで、選手の方々に会わないように控室で待機していました。最後の指示を聞き、その後は時間まで、お茶を飲んだり、スマホで仕事をしたりしていました。

 事前にリハーサルを2回していたので、どういう流れで進めていくかわかっていたので、落ち着いて待機していました。以前は、英語対応は日本人が外国人の役をしていましたが、現在は色々な国から観光客が来るようになったので、今年は実際に外国人と共演した方がいいということになったそうです。

 選手が対応しなければならない場面は3つあり、その場面でどのような対応をするのかが評価されます。1つ目は、忘れ物についてで、前日忘れ物をした人への対応でした。忘れ物をした人が駅の事務所に手続きをしに来ているという設定でした。日本語での対応で、どこで、何を忘れたかを尋ねて、本人確認をします。写真付きの身分証明証、もしそれがない場合は、2種類の証明書が必要であることを説明していました。その時の対応の仕方が評価されました。

 2つ目は、私達の出番で、外国人が「浅草寺へいきたいです」と選手に尋ねます。具体的には、初めは母国語で言います。それで、駅員が分からないようすでしたら、「英語でいいですか」と言い、英語で「I would like to go to Sensouji」と聞きます。その時、地図を出して説明する選手、スマホを出して自動翻訳を使って説明する選手など、色々で、対応の仕方が評価されました。

 3つ目は、外国人が「浅草寺に行きたいです」と選手に言っている最中に、車いすの人から電話が入り、出口までの案内を頼まれます。その時の対応の仕方が評価されました。外国人に一言ことわってから電話に出て、車椅子の客に少し待っていてもらうように伝えてから、外国人に浅草寺への行き方を教え、その後、待たせた車いすの乗客を出口まで案内しました。

 車いすの人を出口まで案内するときに舞台に段差があり、気づかず車椅子を押してしまうと衝撃がきてしまうので注意が必要でした。結構細かい設定がありスムーズにクリアできるかチェックされていました。

 大会の結果は、最優秀賞1名(女性)、優秀賞1名(男性)、敢闘賞1名(男性)が決まりました。最優秀賞の女性の方は、言葉使い、丁寧な説明、対応がとても良かったので選ばれました。具体的には、車いすの乗客が「どこか食べるところを教えてください」と聞いた時、最優秀賞の女性の選手は、国会議事堂の駅の勤務でしたので、国会の周辺は関係官庁ばかりで食べるところがなく、隣の駅の銀座や赤坂見附に出ると色々なレストランがたくさんあると案内していました。対応がとても親切でした。

 実際にこの選手権大会に参加して感じたことは、リハーサルしても、本番では緊張するので、上手くいかないこともあるのではと思いましたが、とてもよくできました。それから、つくづく日本企業だなとも思いました。例えば、接客中に地図やファイルを取り出すときに、いちいち「少々おまちください」と言ってお辞儀をしてからファイルや地図を取り出していました。それを見て、フランス人としては時間の無駄だなと思いましたが、日本の文化が理解できるようになると、そのやり方は日本では当たり前のことだとわかります。しかし、丁寧なのはいいのですが、効率よく処理するためには、丁寧すぎると時間がかかり効率が落ちてしまうのではないかとも思いました。プロジェクトリーダーの方は情報を集め、詳細な準備をして、しっかり取り仕切っていました。それも日本らしさを感じました。接客対応のスキルを磨くということは、日本ならではの考え方だと思います。フランスではこのような大会はありません。この体験により日本文化がより一層理解できるようになりました。