彼岸花

秋の花

 ヒガンバナは、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。漢字では、彼岸花と書き、別名曼殊沙華(マンジュシャゲ)とも言われています。学名はLycoris radiata。原産は中国大陸です。
 学名の由来については、属名Lycoriasは、ギリシア神話の女神、海の精のネレイドの一人であるリュコーリアス(Lycorias)からとられました。種小名のradiata(ラジア-タ)は放射状の意味で、花が放射状に開くことに因んで付けられました。英語では、レッドスパイダーリリー(Red spider lily)、スパイダーリリー(Spider lily)などと呼ばれています。
 彼岸花(ヒガンバナ)の名前は、秋の彼岸頃に咲くことに由来しています。別名の曼殊沙華(マンジュシャゲ)は梵語(サンスクリット語)で「赤い花」「葉よりも先に赤い花を咲かせる」という意味から名づけられたそうです。サンスクリット語のmanjusakaの音写です。
 分布は、日本では、史前帰化植物に分類され、日本全国に分布し、北海道から南西諸島まで見られます。
 花期は、秋の彼岸ごろから10月にかけて咲きます。花芽は土の中で、温度の変化だけを感じて季節を知り、葉よりも先に、高さ30~60㎝の枝も葉もない茎が伸びて先端につぼみが一つ付きます。つぼみを保護するための苞が破れると5~7個前後の花が咲きます。強く反り返った鮮やかな独特な咲き方で、雄蕊は6本、雌しべ1本が花の外に長く突き出ています。秋の終わりに葉が伸びて翌年の初夏に枯れます。土手、堤防、田畑、あぜ、道端、墓地、線路際などに生育しています。
 特徴は、花、茎、球根、全ての部分に毒があります。特に球根には強い毒があります。花や茎は触っても問題ないと考えられていますが、植物から出た汁が手についた場合は念のため洗った方がよいでしょう。害獣撃退(モグラ、ネズミ)の目的で田んぼ、堤防、墓地などに植えられています。田んぼはネズミや虫の撃退のため、堤防はモグラが穴を開けて堤防を壊してしまうのを防ぐため。墓地は、昔は土葬のため、埋葬された遺体を害獣から守るために植えられました。
 放射線状に外向きに咲くのでとてもゴージャスな咲き方です。特に田畑の縁に沿って咲いている景観はとても美しいです。埼玉県の巾着田曼殊沙華公園では日本最大級の彼岸花を楽しむことができます。

花言葉:悲しき思いで、あきらめ、独立、情熱